相続手続における税金問題

相続手続が始まった時、どう遺産を分割するかという問題とは別に相続税を支払わなければいけない場合があります。この記事では、相続税を支払わなければいけない場合や、支払う時期や相続手続との関係などについて解説します。

1 相続税が発生する場合

相続税とは、被相続人の相続財産を取得した場合に、取得した財産の課税価格に応じて課される税金のことです。

相続税は、相続税法16条1項により、被相続人の相続財産の課税価格の合計額が基礎控除額を超える場合に発生します。

基礎控除額は、相続税法15条1項により、3000万円と600万円×(相続人の数)と定められています。

つまり、被相続人に基礎控除額を超える相続財産がある場合に限って、相続税は発生することになります。相続人が誰なのか分からない方は、こちらの記事をご参照下さい(相続人は誰?)。

2 相続税申告・納付の期限

相続税は、相続または遺贈により財産を取得した人が、相続があったことを知った日の翌日から10か月以内に申告書を提出して申告して、実際に申告額を納付しなければなりません(相続税法27条1項、33条)。

たとえば、1月1日に被相続人が亡くなり、相続または遺贈により財産を取得した人がその日のうちに被相続人の死を知ったケースの場合、1月2日から10か月が経過するまで、すなわち、11月1日が経過するまでに申告書を税務署に提出する必要があります。

なお、この税務署は、被相続人の住所地を所轄する税務署を指し、相続人の住所地を所轄する税務署ではない点に注意しましょう。

上記の納付期限までに納付できなかった場合、納付するまでの日数に応じて延滞税が課されます(国税通則法60条1項)。この延滞税の割合は、納付期限から2か月までは年7.3%、その後は年14.6%と決して軽視することはできない割合なので注意しましょう。

3 相続手続との関係で生じる問題

相続税の問題は、相続手続とは直接的に関係のない手続ですが、相続手続の進み方との関係で問題が発生する場合があります。相続手続の流れについてはこちらの記事をご参照下さい。(相続手続の流れ

相続人間で遺産の分け方に争いがある場合、相続人全員で話合って相続人全員が合意する必要があり、仮に全員が合意しない場合、遺産分割審判手続を申立てる必要があります。こうした手続が、相続税申告期限の10か月を超えても終わらないという場合があります。相続手続が終わっていない場合でも、相続税は、相続人全員が法定相続分による相続財産を基礎にして、10か月以内に納付義務が発生します。

よくあるケースで、相続税は遺産から払えばよいと思っている人がいますが、相続手続が完了するまで、被相続人名義の預貯金は凍結されますので、相続人全員の合意がない限り、預貯金を相続税の支払いに使うことはできません。したがって、相続手続が終わっていないのに、相続税の納付期限が到来した場合、自分の財産から納付しなければいけません。相続税の額が高額で手持ちのお金で納付できない場合、高額の延滞税がどんどん加算されていくという問題が生じます。

4 対策

上記のような問題が起きた場合、遺産の内容にもよりますが、相続人全員の相続税納付額に関する部分のみ遺産から支出することを合意して、預貯金を引出し、納付するなどの方法を検討する必要があります。

ただ、これは相続人の中に預貯金しか欲していない人がいて、上記の対策をすることで自分の取り分が減る立場の人がいる場合、現実的な対策とはいえません。

結局のところ、裁判所の遺産分割調停手続などを申し立てる場合などは、10か月で解決しないことも十分あるので、そのような場合、一度自分の手持ちのお金から相続税を納付することを覚悟していただかなければいけない場合が多いでしょう。

5 まとめ

以上をまとめると、相続手続を進めるうえでは、1.相続税が発生するか否かを確認し、2.最悪の場合に備えて、相続税申告期限日までに自分の手持ちのお金で納付できる準備をしておきつつ、3.他の相続人と遺産の分け方だけではなく、相続税の納付に関する予定についても話合うことが必要となります。

相続手続は、遺産の分け方の問題と税金の問題が複雑に絡むので、その時に応じた適切なサポートを専門家に依頼することが大切となります。相続手続でお悩みの方は、是非当事務所へ一度ご相談下さい。

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